決定版―男性型脱毛症(AGA)のメカニズムと原因を徹底解説!

しっかりと育毛を行うためには、男性型脱毛症(AGA)について十分な知識を持っていると、圧倒的に有利です。というか、ちゃんとAGAのことを分かっていれば、怪しい育毛商品に手を出したりすることはなくなります。

AGAの仕組みを理解するためには、そんなに難しい知識が必要なわけではありません。今回は、育毛ビギナーの方のために、最低限必要なAGAの知識をまとめてみました。

AGAのメカニズムと原因―ポイントまとめ

時間がない方はこのまとめだけでもどうぞ。

男性型脱毛症(AGA)によって薄毛化が起きるのは、悪玉男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)が男性ホルモン受容体と結合し、毛乳頭細胞に作用するからです。

毛乳頭細胞は、髪の毛のもとになる毛母細胞に、細胞分裂を促すシグナルを送っています。しかし、DTHと男性ホルモン受容体が結合したものが、毛乳頭細胞の核内に入り込むと、なぜか細胞分裂を阻害するシグナルを発してしまいます。

この状態が次第に悪化していくことで、薄毛化も進行していきます。

AGAではなぜ次第にハゲあがっていくのか?

円形脱毛症では一気に髪の毛が抜け落ちますが、AGAでは頭頂部や前頭部の髪の毛が次第に薄くなっていきます。その理由は、ヘアサイクルの仕組みを知ることでよく理解できます。

髪の毛は生涯伸び続けるのではなく、ある程度伸びると自然に抜け落ちてしまいます。そして、一定期間を経て再び新しい髪の毛が生えてきます。

これをヘアサイクルと言いますが、大きく分けて、髪の毛が伸びる成長期(3~7年)、髪の毛の成長が止まる退行期(数カ月)、そして髪の毛が抜け落ちる休止期(数週間)の3つの時期があります。休止期から再び成長期に戻り、また同じ過程を繰り返します。

AGAになると、成長期が次第に短くなってしまいます。その結果、太く長い毛に成長する前の状態、つまり、短く細い毛のまま抜け落ちてしまう毛が増えていきます。

1本や2本、細く短い毛があっても気になりませんが、これが頭頂部や前頭部の広い範囲で起きると、その部分だけ髪が薄くなっていくように感じます。

そして、AGAが進行すると、髪の毛の成長期も短くなるため、どんどん薄毛化が進行し、最終的にハゲと言われる状態になってしまいます。

AGAのメカニズムと原因―詳細に

男性ホルモンテストステロンとジヒドロテストステロン

AGAの原因は男性ホルモンです。と言っても、男性ホルモンは何種類か存在しており、そのすべてが薄毛化を引き起こすわけではありません。

テストステロンという男性ホルモンがあります。テストステロンは筋肉の増大、骨格の発達、それから二次性徴では体毛の発達などに関連しているホルモンです。

哺乳類のオスではその95%が睾丸から分泌されています。筋力トレーニングを行ったり、不安定な刺激(例えば銃の映像を見るなど)を受けると、体内のテストステロンが増加します。

いかにも男に関わりそうなホルモンですが、実はテストステロンがAGAを引き起こすわけではありません。このテストステロンが変化した、ジヒドロテストステロンと言う男性ホルモンがAGAの原因です。

5αリダクターゼ

テストステロンをDHTに変えてしまう物質が5αリダクターゼと呼ばれる酵素です。全く余計なことをするなと思いますが…。

5αリダクターゼはテストステロンに水素を付加することでDTHに変換します。I型とII型の二種類がありますが、II型の方が活性が高いようです。

5αリダクターゼは毛乳頭細胞と言う、毛包の底部に存在する細胞や細胞間に存在しています。そしてどうしたことか、活性が高い(=より多くのテストステロンをDHTに変換する)II型5αリダクターゼは、頭頂部と前頭部の毛包の毛乳頭細胞に多く存在します。

男性型脱毛症では薄毛になりにくい側頭部や後頭部の細胞には、II型は存在しないか、ほとんど存在しません。

進化論的になぜこのような状態になったのかは不明で、全く訳が分かりませんね(笑)

男性ホルモン受容体(アンドロゲンレセプター)

DHT単独で薄毛化を引き起こすわけではありません。DHTは男性ホルモン受容体というたんぱく質と結合することによってAGAを引き起こします。

実は、研究によってはAGAの人とAGAではない人の5αリダクターゼ量を比較すると、大きな違いはないとする説もあります。これについては今後の研究の進展が待たれますが、注目されるのは男性ホルモンに対する感受性。

いくらDHTが多く作られても、男性ホルモン受容体と結びつく数が少なければ、薄毛化はひどくならないはずです。逆に、男性ホルモン受容体の感受性が高ければ、少ないDHTでもかなりAGAが進行することになります。

現在では、DHTや5αリダクターゼに加えて、男性ホルモン受容体も注目されています。

毛乳頭細胞

毛乳頭細胞(もうにゅうとうさいぼう)とは、毛包の底部にある細胞です。毛包の底にあるということで、毛細血管が流れ込んでいて、栄養分や酸素を受け取ります。

エネルギーを受けた毛乳頭細胞は、成長因子などの細胞分裂を促すシグナルとなるたんぱく質を作り出します。このシグナルが細胞間の移動によって、毛母細胞に伝わると、毛母細胞の細胞分裂によって髪の毛が成長します。

ところが、DHTと男性ホルモン受容体の結合体が毛乳頭細胞の核内に取り込まれると、なぜか細胞分裂を阻害するシグナルを発するようになります。

毛乳頭細胞は、いわば髪の毛の成長の司令塔とでも言うべき存在です。

毛母細胞

毛母細胞は髪の毛の元になる細胞です。毛母細胞が細胞分裂を繰り返し、増殖した細胞が角化(アポトーシスによって細胞死して硬化すること)することで髪の毛になっていきます。

毛母細胞の細胞分裂は、上述のように毛乳頭細胞から発せられるシグナルに依存していると考えられています。

リアップの有効成分ミノキシジルには毛母細胞を活性化する効果があるとされています。

AGAのメカニズムと治療

以上がAGAのメカニズムです。

もう一度まとめると、①テストステロンが5αリダクターゼによってDHTに変換される②DHTが男性ホルモン受容体と結合し、毛乳頭細胞の核内に取り込まれる③毛乳頭細胞が毛母細胞の細胞分裂を阻害するシグナル(たんぱく質)を生成する、という流れで薄毛化が引き起こされます。

これを踏まえたうえで、現在の標準的なAGA対策をまとめておきます。

①5αリダクターゼの阻害

AGAの原因の大元はDHTです。そこで、テストステロンをDHTに変換する5αリダクターゼを阻害することで、DHTの生成量を減らすことが第一の対策です。

商品名プロペシアで知られるフィナステリドや、ノコギリヤシの成分などがこの作用を持っています。

②毛母細胞の活性化

二つ目は毛母細胞の活性化です。DTHと男性ホルモン受容体を核内に取り込んだ毛乳頭細胞は、毛母細胞の細胞分裂を阻害するシグナルを発します。

この状態が長く続けば、すなわちAGAを発症しても長く放置していれば、毛母細胞の活性が低くなってしまいます。そこで、活性が低下した毛母細胞をもう一度活性化することで、育毛を促します。

リアップに含まれる有効成分ミノキシジルは、血管拡張の作用から、長らく血流を改善することで育毛を促すと考えられていました。しかし、現在ではむしろ毛母細胞の活性化の方が有力視されています。

基本は5αリダクターゼの阻害と毛母細胞の活性化

この小見出しのとおりですね。

AGA対策として、将来的には再生医療の適用も可能になってくると思われますが、現状では5αリダクターゼの阻害と毛母細胞の活性化が主流です。

特にある程度進行したAGAに対しては、このいずれか、あるいは両方を行わなければ、満足いく育毛を実現することは難しいでしょう。

一部の育毛関連サービスでは、未だに皮脂の除去や頭皮マッサージを育毛「治療」として掲げているところがありますが、これらは直接AGAの改善につながるわけではありません。

いくら皮脂を取り除こうが、マッサージで頭皮を柔らかくしようが、それでDHTの作用を防いだり、毛母細胞を活性化できるわけではありませんからね。

AGAの基本的なメカニズムを理解することは、怪しい育毛サービスに引っかかってお金と時間を無駄にしないだけでなく、育毛をしっかりと行うためにも重要です。